津島軽便堂写真館

名古屋市電03  お正月の熱田神宮前    名古屋市電路線図へ

名古屋市電03-@ 熱田神宮前 1972(S47).1.1

1972(昭和47)年の元日はあいにくの雨でした。
老夫婦が停車中の市電に乗り込みます。
この写真の左側に名鉄神宮前駅、右側に熱田神宮がありますので、横断歩道は信号が変わるたびに人であふれました。
「熱田神宮前」電停を通る市電は、当時 金山橋〜熱田神宮前〜昭和町の「21」系統のみでしたが、お正月は金山橋〜熱田神宮前に「臨」系統が増発され、電停には臨時係員を配置し初詣客を輸送しました。

廣田尚敬さんの写真集「魅惑の鉄道」の中に、「鎌倉の春」というコーナーがあり、初詣客で賑わう北鎌倉駅の情景が見事に表現されていました。電車よりも、にこやかな晴れ着姿の女性が主役になった写真でした。私はその写真に感化されて、「熱田神宮前の春」を撮りに出かけたのですが、雨に降られてしまいました。
↓名古屋市電03-A 熱田神宮前 1972(S47).1.1

左のホームは市電から降りた人、右のホームは市電を待つ人であふれています。
名古屋市電03-B

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

熱田神宮の東門から境内へ入ってすぐのところです。
名鉄電車or市電に乗って熱田神宮初詣に来た人の通り道なので、混雑するところです。
屋台が軒を連ねていました。

雨は一旦小やみになったようです。
名古屋市電03-C

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

熱田神宮の東門の入口付近です。
屋台越しに撮りました。
名古屋市電03-D

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

福飴の屋台です。
市電の向こうに見える屋根は、名鉄神宮前駅舎です。当時はまだ木造駅舎でした。
名古屋市電03-E

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

市電はワンマン運転されており、3扉車が主流で、前扉が乗車口、中扉が降車口、後ろ扉が締切でした(2扉車の場合、後ろ扉が降車口)。
前扉を入ったところに運賃箱があり、そこで運賃(当時25円)を先払いする方式だったので、多客時は乗車に時間がかかりました。
正月の熱田神宮前電停には、交通局職員が中扉付近に立って運賃収受を行い、円滑な運行の確保に努めていました。
名古屋市電03-F 1972(S47).1.1

熱田神宮前〜熱田伝馬町

初詣期間は、金山橋〜熱田神宮前間に「臨」系統が増発され、熱田神宮前で初詣客を降ろしたあと、伝馬町方向へ走り去り、この少し先の渡り線を使って折り返してきます。
名古屋市電03-G

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

背景は、熱田の杜です。  
名古屋市電03-H

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

ここも熱田神宮東門付近ですが、上のB〜Dの場所から150mくらい南に離れ駅から遠いので、空いています。
名古屋市電03-I

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

同上
   
名古屋市電03-J

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

子供用のパチンコ台と裸電球
懐かしいですね!
名古屋市電03-K

熱田神宮前 1972(S47).1.1 

賑わう屋台です!
名古屋市電03-L

熱田神宮前 1973(S48).1.1 

ここから下は、上の写真@〜Kの1年後です。また元日に熱田神宮へ行きました。

1年前と違い、雨は降りませんでしたが、曇って肌寒い天気でした。

歩道橋の上も下も人が一杯ですね。
写真を見ると、上は左(熱田神宮)行き、下は右(神宮前駅)行きの一方通行のような感じです。
東門の入場規制を行っているようで、歩道橋の上の人は止まっているみたいです。
名古屋市電03-M

熱田神宮前 1973(S48).1.1 

熱田神宮前電停に停車中の1400形1410です。中扉からも乗車できるように交通局職員が運賃を受け取っています。

1400形は75両製造されましたが、この1410号を含む6両は戦災等で車体を作り直したので、張り上げ屋根をやめて、1500形に似た形状です。
1400形の本来の姿は↓Nの写真。
名古屋市電03-N

熱田神宮前 1973(S48).1.1

人がいっぱいの歩道橋を歩きながら撮りました。

名古屋市電を代表する1400形です。
「熱田神宮前」折り返しの「金山橋」行き臨時列車がつながっています。
昭和町行き「21」系統はなかなか来ないようです。
熱田神宮前O 1973(S48).1.1 市電を待つお客さんと係員です  熱田神宮前P 1973(S48).1.1 市電が到着しました
名古屋市電03-Q

熱田神宮前 1973(S48).1.1

運賃を支払って、臨時乗車口の中扉から乗ります。
名古屋市電03-R

熱田神宮前 1973(S48).1.1

満員の電車が到着しました。
前扉からも中扉からも降ります。
名古屋市電03-S

熱田神宮前〜熱田駅前 1973(S48).1.1

熱田神宮前から金山橋行きの市電に乗りました。
この右に名鉄神宮前駅があります。
名古屋市電03-(21)

熱田駅前 1973(S48).1.1

国鉄熱田駅前の交差点で信号待ちです。
前方に「熱田駅前」電停が見えます。
対向電車の足下に手前左側へ分岐する線路が見えます。
1971(昭和46)年までは、ここで分岐し白鳥橋経由名古屋港行きの市電が走っていました。
名古屋市電3-(22) 金山橋 1973(S48).1.1

終点の金山橋に到着しました。かなりのお客さんが乗っていました。この1416も戦災復旧車で、本来の1400形と車体形状が異なります。
名古屋市電3-(23) 金山橋 1973(S48).1.1

熱田神宮前行きの市電は満員で出発していきます。名古屋市電が活躍していた時代の1コマです。
名古屋市電03-(24)

熱田神宮前 1974(S49).1.1

上の写真からまた1年経ちました。

3年連続で元日は市電を撮るために熱田神宮前へ通ったことになりますが、この年が最後でした。

この年(1974年)の2月にここを通る名古屋市電が廃止され、3月には全線廃止になったので、名古屋市電にとって最後のお正月です。

横断歩道を渡る人、市電を降りた人、市電に乗る人で混雑しています。
名古屋市電03-(25)

熱田神宮前  1974(S49).1.1

上の写真と同じ場所ですが、望遠レンズで撮ると、混雑具合が強調されます。
名古屋市電03-(26)

熱田神宮前 1974(S49).1.1

今度は広角レンズで撮りました。
すごい人波ですね。

この頃は、神宮東門を入ってすぐのところに、常設の土産物屋(正面の瓦屋根)や鰻の「蓬莱軒」等がありました。
今は建物が撤去され駐車場になっています。
名古屋市電03-(27)

熱田神宮前  1974(S49).1.1

ホームが狭いので、混雑時は運転にも気を遣ったと思います。
03-(28) 熱田神宮前 1974(S49).1.1  入口は前扉です 03-(29) 1974(S49).1.1 中扉は本来出口ですが、臨時入口です
03-(30) 熱田神宮前 1974(S49).1.1
和服姿のきれいなお姉さんも、可愛い子供も電車を待ちます
03-(31) 熱田神宮前 1974(S49).1.1
市電が出発していくと、係員もホッと一息です。
以上が、名古屋市電を撮るため、3年連続して元日に「熱田神宮前」へ行った記録です。3年連続よく行ったものだと今になって思います(しかし、元日以外に撮影していないので反省です)。熱田神宮へ大勢の初詣客を運んだ市電も、この1ヶ月半後の1974(昭和49)年2月16日に沢上町〜熱田神宮前〜内田橋〜大江町の路線が廃止されました。

名古屋市電03-(32) Nさん撮影

熱田神宮前〜熱田駅前 1970(S45).6.28

熱田神宮横の電車道です。向こう側は、名鉄神宮前駅から国鉄熱田駅まで続く商店街になっています。
名古屋市電03-(33) Nさん撮影

熱田神宮前  1974(S49).2.10

廃止約1週間前の熱田神宮前です。Nさんが慌てて撮りに行きました。
普段の熱田神宮前はこんな感じでした。
名古屋市電03-(34) Nさん撮影

熱田神宮前〜熱田駅前 1974(S49).2.10

上の写真(33)に写っている歩道橋の上から北の方を見ました。
左側が熱田の杜で、右側には名鉄神宮前駅があります。
名古屋市電03-(35) Nさん撮影

熱田神宮前 1974(S49).2.10

南の方から撮った、熱田神宮前電停に停車中の1421号です。
1421号は、名古屋市レトロ電車館に保存されています。
名古屋市電03-(36) Nさん撮影

熱田神宮前 1974(S49).2.10

熱田神宮の東南の鳥居の前を走ります。

熱田神宮の参拝客で賑わったこの路線も、この約1週間後に廃止されました。
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参考図書
  「名古屋を走って77年」 名古屋市交通局 1974(昭和49)年3月発行
  「名古屋の市電と街並み」 日本路面電車同好会名古屋支部編著 トンボ出版1997(平成9)年10月発行
  「名古屋市電が走った街 今昔」 徳田耕一著 JTBキャンブックス1999(平成11)年9月発行
  「RM LIBRARY 170〜172 名古屋市電(上・中・下)」 服部重敬著 ネコパブリッシング 2013(平成25)年10〜12月発行