津島軽便堂写真館

お堀を走っていた頃の 瀬戸電 1   大津町〜土居下 

堀川・本町 大曽根 矢田 尾張瀬戸 瀬戸線ダイヤ1973(昭和48)年改正
名鉄はいろんな鉄道会社を合併していますが、瀬戸線もその一つで、合併前は瀬戸電気鉄道=瀬戸電でした。今でも合併前の愛称で呼ばれているのは、瀬戸電ぐらいです。(瀬戸電と呼ぶのは年寄りだけかな?)
本線と唯一線路がつながっていない独立した路線であることも、その理由の一つかもしれません。
瀬戸線も、今では本線に負けない近代的な路線になりましたが、45年くらい前は旧型電車が走るローカル色豊かな鉄道でした。

特に、名古屋城の外堀を走っていた堀川〜土居下(左地図の赤線)は見どころいっぱいでした。その写真をご覧ください。
このお堀区間が廃止になったのは1976(S51)年2月15日で、1978(S53)年3月19日に600Vから1500Vへ昇圧、同年8月20日に栄町乗り入れ開始し 、近代的な鉄道に生まれ変わりました。

左の地図は、国土地理院発行1/2.5万「名古屋北部」 S47.8.30発行より(地下鉄を薄青い点線で記入)
瀬戸電 大津町@

大津町  1972(昭和47)年6月

お堀区間が廃止になるまで、瀬戸電の終点は堀川でしたが、ほとんどの列車はこの大津町駅で折り返しました。大津町駅が瀬戸電の実質的なターミナルでした。
大津橋(大津町駅の上に架かる橋)から堀川方向を見た写真です。
この電車は旧型の900形ですが、当時の名鉄のシンボルであったパノラマカーと同じ逆富士型の行先表示器とミュージックホーンを付けていました。
線路を歩いているおじさんは草刈りをしていた駅員でしょうか? むし暑さと長閑さを感じるよき時代の写真です。
瀬戸電 大津町A

大津町  1973(S48).3

上の写真@の逆方向から撮っています。

瀬戸線には個性豊かな車両がたくさんいましたが、この特徴あるスタイルの2220形は旧三河鉄道のガソリンカー改造車ということです。2両いました。
2220形は、1973(S48)年8月に本線から3700系が転入してきたため廃車になりました。
廃車になる約半年前の姿です。
瀬戸電 大津町B

大津町  1973(S48).3

同上
2220形は、ここで折り返して瀬戸(写真向こう側)に向かいます。

留置線の奥には、架線点検用の車が置いてありました。
瀬戸電 大津町C

大津町  1972(S47).9

大津町駅の堀川方面に向かうホーム(瀬戸方面からの降車ホーム)です。

瀬戸線沿線には名門女子大があり、この頃から若い女性客が多く、電車は古かったですが、華やいだ雰囲気がありました。ここで下車して地下鉄(名城線・市役所)に乗り換える人が多かったです。

当時の瀬戸電の電車の色は、特急(料金不要)用電車が赤色+白帯(写真右)、その他の電車は緑色でした。(全車非冷房)
瀬戸電 大津町D

大津町〜土居下 1972(S47).6

大津橋から瀬戸方向を見た写真です。
上の写真@の逆方向を見ています。

ガソリンカー改造車2220形です。

写真に写っている久屋橋をくぐると、有名なサンチャインカーブです。
瀬戸電 大津町E Nさん撮影

大津町〜土居下 1971(S46).1.30

お堀の中のサンチャインカーブを直角に曲がります。半径60mの急カーブです。
ここのレールの側面に摩耗防止の油を塗っていた土木現場の人は、ここを「サンチャイン」と呼んでいましたが、何のことか分かりませんでした。
あとで、「3チェーン」がなまったもので、1チェーン=1/80マイル=66フィート≒20.1mなので、3チェーン≒60mで、半径60mのカーブであることに気付きました。


当時の瀬戸電の一般車は緑色で、特急車は赤色に白帯でした。
この横を走る名古屋市電の廃止直前に、市電のついでにNさんが撮影。
瀬戸電 大津町F 大津町〜土居下 1972(S47).6

ク2320形は、1926(大正15)に製造された元愛電「電7形」。全長16.7m。2321は、後に特急色(赤に白帯)へ変更されました。
瀬戸電 大津町G 大津町〜土居下 1972(S47).6

ク2190形は1930(昭和5)年に製造された元東美鉄道(現・広見線新可児〜御嵩口)のデボ100形。当時の瀬戸線で一番の小型車で全長13.5m
瀬戸電 大津町H 大津町 1976(S51).1.23                 

お堀区間の廃止まであと1ヶ月弱となったときに雪が降ったので、喜び勇んで撮りに行きました。大津橋から撮った大津町駅全景です。
瀬戸電 大津町I 大津町 1976(S51).1.23

外堀の北の土塁の上から、外堀の中の大津町駅を俯瞰しました。
瀬戸電 大津町J

大津町 1976(S51).1.23

本線から3700系(全長17.8m)が転入していました。瀬戸線にも本線並みの大型車が走るようになりました。

3700系は、旧型木造車を淘汰するため、木造車の機器を再利用し、全金属製の車体を新造した形式で、1957(昭和32)年からMc・Tc計41両が製造されました。
1973(昭和48)年にMc-Tc5編成(10両)が、瀬戸線輸送力増強のため、1500→600Vに降圧改造し、赤色+白帯で導入されました(当時の本線の3700系はクリーム色+赤帯)
瀬戸電 大津町K

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

上の写真Dに写っている久屋橋から逆方向から見ました。
大津橋の下の大津町駅を出発した喜多山行き電車です。

瀬戸線で写真を撮ってる人をそれまで滅多に見なかったですが、さすがにこの日は大勢(数人)の人が写真を撮っていました。 
瀬戸電 大津町L

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

ク2300形(2302)-モ900形(902)と、ク2320形(2321)-モ900形(907)が、お堀の中の半径60mの急カーブですれ違いです。列車種別は共に準急でした。
瀬戸線の特急用に改装された車両達ですが、本線から3700系導入後は、様々な運用につくようになりました。
瀬戸電 大津町M

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

ク2301-モ901の準急・大津町行きです。
瀬戸電 大津町N

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

3700系(モ3707-ク2707)の特急瀬戸行きが、お堀の中の半径60mの急カーブを曲がります。
上のLMと同じ場所から、広角で撮りました。
瀬戸電 大津町O

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

半径60mの急カーブを橋の上から俯瞰しました。
運良く緑色の759号+702号の特急が走ってきました。
瀬戸電 大津町P

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

上の写真Oの759+702が大津町で折返し、大津町行きの普通3700系とすれ違いました。
瀬戸電 大津町Q

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

上の写真Pの続きです。
3700系と特急瀬戸行き700系+750系が走り去りました。
瀬戸電 大津町R

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

サンチャインカーブです。
お堀の中、線路の近くで撮りました。
昔は、こんな所でも自由に撮ることができました。
瀬戸電 大津町S

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

白帯を外した900形がSカーブを通り過ぎて、間もなくサンチャインカーブに突入です。
瀬戸電 大津町(21)

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

上の写真Sの逆方向です。
上の写真は、この電車の先頭付近から撮りました。
瀬戸電(22) 大津町〜土居下 1976(S51).1.23
サンチャインカーブです。背景に名古屋のシンボル「テレビ塔」が写っています。電車の走るお堀の向こう側を、5年前(1971年)までは名古屋市電が走っていました。
瀬戸電(23) 大津町〜土居下 1976(S51).1.23

これもテレビ塔が写っています。だいぶ土居下寄りで、市役所の東方、明和高校近くの清水橋から撮りました。
←瀬戸電(24) 大津町〜土居下 1976(S51).1.23

2320形2321号の準急・大津橋行きです。
上の写真(21)と同じ場所です。
↓瀬戸電(25) 大津町 1976(S51).1.23

大津橋から堀川方向を見て撮りました。彼方の線路を跨ぐ橋が本町橋で、その下が有名なガントレットです。次ページをご覧ください。
瀬戸電(26)

大津町〜土居下 1976(S51).1.23

掘りの中の瀬戸電と、堀の上に立つバラック住宅です。
その向こうには明和高校のグランドのバックネットが写っています。
土居下駅が左の石垣?の影に隠れています。
残念ながら、土居下駅の写真がありません・・・毎度のことながら、撮らなかったことを反省しています。

現在は、この堀の下の地下に東大手駅があります。
瀬戸電(27)

土居下
(どいした) 1978(S53).3.21

土居下(仮駅)に到着する電車と、駅前の電車代行バス。

1976(S51).2.15にお堀区間が廃止となり、その入口にあった土居下駅は、約300m瀬戸方へ移転し、栄町乗入れ開始までの約2年半、一時的なターミナルとなりました。(一番上の地図参照)
ホーム1本だけの仮駅で、駅前からは電車代行バスが県庁前(大津町)まで運行されました。
瀬戸電(28)

土居下
(どいした) 1978(S53).3.21

上の写真(27)の逆方向です。
電車代行バスと土居下仮駅舎(右)です。

お堀区間廃止の1976(S51).2.15から、栄町乗入れ開始の1978(S53).8.20までの約2年半、代行輸送が行われました。
 2020(R2).8.15renewal
2011(H23).5.2up
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参考図書
 「せとでん100年」山田 司・鈴木裕幸著 中日新聞社2005(平成17)年2月発行
 「RM LIBRARY 165 名鉄瀬戸線-お堀電車廃止からの日々-」清水 武著 ネコ・パブリッシング 2013(平成25)年5月発行
 「名古屋鉄道車両史-上・下巻」清水 武・田中義人著 アルファベータブックス 2019(令和1)年4・9月発行