名鉄 デキ600形 名鉄在籍70余年、最後の1週間の記録
名鉄デキ600形は、東芝が戦時中に製造した標準設計の凸型電気機関車で「東芝戦時型」と呼ばれ、私鉄各社に同型機がたくさんいました。 名鉄には1943(昭和18)年製のデキ600形601~604の4両が在籍し、大デキと呼ばれ貨物輸送の主力機関車として活躍しました。1983(昭和58)年末限りで名鉄は貨物輸送をやめたので、その後は車庫内の入換と、工事列車(深夜のレール・砕石輸送)として使われていました。 1992(平成4)年にデキの先陣を切って特別整備(外板張替)を実施し、名鉄では初の青いデキとなりましたが、後継の赤いデキEL120形(2両)の登場により、2015(H27)年7月21日に4両そろって廃車になりました。戦時中から戦後の混乱期を乗り越え名鉄一筋で70年余りも頑張ってきたのに、何のイベントも行われずに廃車解体されたのは誠に寂しい限りです。 廃車から2年以上たち、デキ600形の記憶もだんだん薄れていってます。 そこで私が、「デキ600形」廃車1週間前からの写真をまとめましたのでご覧ください。 名鉄の「デキ」については、名鉄資料館で2015(平成27)年秋に特別展を開催しました→名鉄の電気機関車「デキ」写真展 こちらもご覧ください。 |
↑デキ600形の車両竣工図 名鉄資料館2015(H27)年10月開催-名鉄の電気機関車「デキ」写真展-に展示された資料(名鉄資料館所蔵) |
名鉄デキ600-① 神宮前 2015(H27).7.15 デキ600形廃車の1週間前です。 晩年の600形は、工事列車と車庫入換用に、犬山2両、新川(須ヶ口)1両、大江1両の配置でした。 大江に配置された600形1両は、検査のため須ヶ口駅隣接の新川検車区まで毎週1回、早朝に回送されました。同日、代わりの600形1両が須ヶ口から大江まで早朝に回送され、6時少し前に神宮前駅の北側ですれ違うダイヤになっていました。 600形の廃車が迫り、この日が最後のすれ違いとなりました。 この日、603号が最後の検査を受けるため、大江から須ヶ口へ回送されました。神宮前2番ホームに到着する603号です。 |
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名鉄デキ600-② 神宮前 2015(H27).7.15 最後の検査が終わった604号が、須ヶ口から大江まで回送されました。 ここを走るのは最後です。 神宮前到着直前で、この辺りで、神宮前を出発した603号とすれ違うことを期待していたのですが、残念ながらすれ違いシーンは撮れませんでした。 ちょうどこの時、2番ホームの発車ブザーが鳴り、603号が出発しようとしていました。 |
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↑無情にもホームですれ違いました。 写真②と③の間に慌てて撮ったのですが、望遠ズームだったので近すぎて撮り損ないました・・・ |
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名鉄デキ600-③ 神宮前 2015(H27).7.15 上の写真の直後に、須ヶ口行きの603号が神宮前を出発しました。 わずかの差で、すれ違いシーンは撮れませんでした・・・ |
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名鉄デキ600-④ 神宮前 2015(H27).7.15 本当は、こんな写真が撮りたかったのです! この日撮った2枚の写真を合成しました。 |
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名鉄デキ600-⑤ 二ツ杁 2015(H27).7.15 神宮前のホームで①~④の写真を撮ったあと、家へ帰るため6:02発の佐屋行き急行に乗りました。 運転室の後ろで前方を見ていたら、先ほど神宮前を出発した603号が二ツ杁駅で待避していました。 |
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名鉄デキ600-⑥ 須ヶ口 2015(H27).7.15 急行で須ヶ口へ先着し、ホーム端でデキ603号の到着を待ちました。 |
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名鉄デキ600-⑦ 須ヶ口 2015(H27).7.15 上の写真⑥の続きです。 603号は間もなく1番線に到着し、折り返し新川検車区へ入っていきました。 電柱の陰にはデキ400形の姿もチラッと見えました。 この日の撮影はこれで終了です。 この603号は、新川検車区で最後の検査を受けた後、7/19の早朝に大江へ回送されましたが、それは撮りに行かず、その翌日7/20の犬山→大江デキ回送を次の目標としました。 |
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名鉄デキ600-⑧ 神宮前 2015(H27).7.20 犬山検車区に常駐していたデキ601・602号が犬山に別れを告げ、大江へ回送されました。 重連運転で、神宮前へ6時半頃に到着しました。 |
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名鉄デキ600-⑨ 神宮前 2015(H27).7.20 近づいたところでもう1枚。上の写真⑧の続きです。 |
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名鉄デキ600-⑩ 神宮前 2015(H27).7.20 神宮前を出発し、大江に向かうデキ600形重連です。後追いで撮りました。 これを撮ったあと、次の急行で大江に向かいました。 |
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名鉄デキ600-⑪ 大江 2015(H27).7.20 大江に到着すると、デキ600形が入換をしていました。 先ほど神宮前で見た601+602号ではなく、603+604号の入換でした。 |
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名鉄デキ600-⑫ 大江 2015(H27).7.20 4番ホームの3700系(左)と5番ホームの5000系(右面)の間を抜けて入換です。 向こうの方には、先ほど到着したばかりの601+602号がいました。 |
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名鉄デキ600-⑬ 大江 2015(H27).7.20 デキ600形重連同士を連結し4重連にするようです。 4両ともパンタを上げていて嬉しかったです。 |
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名鉄デキ600-⑭ 大江 2015(H27).7.20 連結作業に入りました。 奧から順に、601・602・603・604と番号がそろいました。 番号をそろえるために入換をしたのでしょうか? 粋な計らいですね! これにて、翌日の4重連廃車回送の準備が整いました。 |
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名鉄の新車は、日車豊川工場からJR・名古屋臨海鉄道経由で東名古屋港へ運ばれます。築港線も名臨海のDLに牽引され大江に到着し、そこからは自力or名鉄デキ牽引で舞木検査場まで回送されます。 廃車車両は舞木検査場から大江、築港線経由で東名古屋港まで回送され、そこで解体orトレーラーに積み込まれ解体場まで輸送されます。 築港線は名鉄の車両が最初と最後に通る路線です。 ←YAHoo!地図より-写真番号等を追記 |
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名鉄デキ600-⑮ 大江 2015(H27).7.21 デキ600形最後の日です。 この日、大江から東名古屋港まで最後の廃車回送が行われました。 私は大江駅へ8:40頃に到着し、大江駅の東側から4両並んだデキ600形を撮りました。 600形4重連は、9時頃に大江を出発し、東名古屋港に向かいますので、急いで築港線の撮影ポイントに向かいました。 |
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名鉄デキ600-⑯ 大江 2015(H27).7.21 築港線の撮影ポイントに向かうため、大江駅南の跨線橋を渡りました。 ここで知人と会ったら、「向こうは凄いことになっているよ」と撮影地の混雑ぶりを教えてもらいましたが、めげずに向かうことにしました。 |
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名鉄デキ600-⑰ 大江 2015(H27).7.21 大江の跨線橋を降りたところでも1枚撮りました。 デキ600形4重連は留置線から築港線のほうへ入換を始めていました。 築港線の撮影ポイントへ急いで歩きました。 |
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名鉄デキ600-⑱ 大江~東名古屋港 2015(H27).7.21 築港線のお立ち台を通過するデキ600形4重連廃車回送です。先頭から順に601・602・603・604号です。 ここで待ち構えていたカメラマンは80人くらいいたと思います。 通過1時間前に到着した知人も満足な場所が確保できなかったということですから、5分前に到着した私は何処で撮れば・・・という感じででしたが、皆の横から控えめに撮りました。 |
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名鉄デキ600-⑲ 大江~東名古屋港 2015(H27).7.21 通り過ぎたところをもう1枚! 上の写真⑱の続きです。 この写真を撮ったあと、歩いて東名古屋港駅に向かいました。 |
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名鉄デキ600-⑳ 東名古屋港 2015(H27).7.21 東名古屋港に到着したデキ600形4重連は、切り放されて604号から順に軌陸車に牽引されて三角地帯へ、折り返し推進されてクレーン車が待つ吊り上げ場所へ運ばれました。 写真は2両目の603号です。 なお602・601号は2両一緒に運搬されました。 |
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名鉄デキ600-(21) 東名古屋港 2015(H27).7.21 604号が吊り上げ場所まで移動し、クレーンで車体を吊り上げるための準備です。 自力で走ってきた機関車ですから、車体と台車がモーターのリード線などでつながっています。それらを手っ取り早くガスで切断しています。火の粉で枕木が燃えないように水をまきながらの作業でした。 |
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名鉄デキ600-(22) 東名古屋港 2015(H27).7.21 大江を出発してから1時間後くらいに、最初のデキ604号を吊り上げました。 レールのないところに下ろされ、そのあと解体されます。 写真の右下が、有名な築港線と名古屋臨海の平面交差部です。 |
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名鉄デキ600-(23) 東名古屋港 2015(H27).7.21 この日私が撮った最後の写真です。 あまりの暑さに、撮影もこれで打ち切りました。 「さようならデキ600形」 |
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名鉄のデキの写真は、名鉄資料館 →名鉄の電気機関車「デキ」写真展 をご覧ください。 |
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私が撮ったデキ600形が現役の頃の写真は →尾西線の貨物列車 →三河線越戸 パノラマカーとのコラボは →中京のパノラマカー |
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津島軽便堂 デキ400形へ | 2017(H29).11.1up |
参考図書:「鉄道ピクトリアル No.859 特集・凸型電気機関車」2012(H24).2月号 鉄道図書刊行会発行