津島軽便堂写真館

中京競馬場の パノラマカー 1/2 (パノラマカーNo.3)

中京競馬場7000-①

中京競馬場 2015(H27).12.13

JRA中京競馬場には、パノラマカーが3両保存されています。
競馬開催日(年間26日)は、200円の入場料が必要ですが、パノラマカーに座って生の競馬が見られます!
場外発売日(パークウインズ=開催日以外の毎週土・日)は入場料無料で、パノラマカー車内へも入れます。運転台でミュージックホーンを鳴らすこともできるようです。
平日は、入口で記帳が必要なようですが、パノラマカーを見るだけならOKです。→中京競馬場のHP(場内マップ)
パノラマカーは名鉄舞木検査場に2両保存されていますが、そちらは一般公開されておらず、イベントの時
(しかも抽選に当たる必要あり!)でないと見られないので、チョット敷居が高いですね…中京競馬場の方が自由に見られます。
←中京競馬場のパノラマカーの近くにある看板です。設置後14年経過しました。
中京競馬場7000-②

太田川 7027号 2001(H13).11.28

中京競馬場にパノラマカーを保存しようという話が出たのは2001(平成13)年でした。
その頃、中京競馬場では中京地区らしいモニュメントを飾ろうと計画しており、たまたま、当時の中京競馬場長さんが新聞を見たらパノラマカーの廃車記事が掲載されていたそうです。早速総務課長を通じて名鉄へ話をしたら、7027編成が翌年廃車になることがわかり、協議が開始されました。
当時私は名鉄の車両部門の子会社の名鉄住商に在籍していて、その話を聞きつけました。競馬場からパノラマカーの展示工事を受注しようと思い立ち、早速7027編成の運用を調べ、当日、太田川駅で昼頃に停泊していることがわかり、調査に出かけました。
中京競馬場7000-③

太田川 2001(H13).11.28

7027号の運転台の屋根です。
かなり痛んでいました。

競馬場へ展示するためには、綺麗に化粧直しをしないといけません!
その費用を見積もるために、現状の車両がどうなっているか調査しました。
2階運転台の扉から身を乗り出して屋根をのぞくとこんな状態でした。

7027・7028号は1968(昭和43)年製で、製造後33年経過し、特別整備も未実施のため、早めに廃車対象になったと思われます。
中京競馬場7000-④

中京競馬場 2001(H13).12.20

この日、私は初めて中京競馬場を訪問しました。競馬場の担当者と第1回目の打ち合わせをし、展示予定場所を見せてもらいました。
何ヶ所か候補はありましたが、結局スタンド東側の芝生広場(左写真の場所)に展示することが決定しました。

名鉄にとって中京競馬場(及び競馬ファン)は大事なお客様のため、パノラマカー廃車車両は名鉄から中京競馬場へ無償譲渡することになりました。ただし、展示車両の化粧直しと輸送・据付(合計するとかなりの金額)は有償で、名鉄住商が受注しました。私は名鉄住商の担当者として中京競馬場との折衝を任されました。(名鉄からは中京競馬場に失礼のない対応をするように釘を刺されましたが…)。1・2・3両展示の場合の各々の見積書を作成・提出・打ち合わせした結果、3両も展示することになり、とても嬉しかったです。
中京競馬場7000-⑤

当時の中京競馬場パンフレットに展示場所を記入しました。

競馬場右が駐車場で、そこから黄色矢印のルートでパノラマカーを搬入(トレーラー)することにしました。
中京競馬場7000-⑥

 金山 2002(H14).3.7

7028号の展望席。

廃車の迫った頃です。

7027-7092-7089-7028の4両編成は、2002(H14).4.2付で廃車されました。
7089号を除く3両が保存展示されることになったわけです。
中京競馬場7000-⑦

舞木検査場 2002(H14).5

7092号外板修理。

7027編成は廃車後、舞木検査場へ入場しました。
5月上旬から工事を開始し、車体に関しては通常の全般検査並みの修繕をしました。
まず、車体外板の痛んだ部分の修理です。
中間車の7092号は、車内を売店に改造するため、座席の撤去、床材の張り替えなどを行いました。
電車の天井クーラーは電源さえあれば動く状態でしたが、将来メンテナンスが困難になると思われたので、事務所用の汎用床置き式エアコンを推奨し、車端に設置しました。
中京競馬場7000-⑧

神宮前 2002(H14).7.30

7000系パノラマカー3両は、舞木検査場での化粧直しが終わり、2002(平成14)年7月29日の深夜、舞木検査場を出発し、デキ600形に牽引されて、翌30日未明に神宮前に到着しました。
車両はそのまま留置し、乗務員は到着後神宮前の合宿所で仮眠、5時過ぎ(始発電車前)に別の乗務員が、神宮前→金山→大江へ運転します。
添乗員3名
(私を含む)は、パノラマカーと一緒に朝まで過ごしましたが、車内は暑くて仮眠できず、ホームのベンチも蚊の襲撃に悩まされ散々でした。
この写真は、周りが明るくなりかけた5時前に撮ったものです。

東名古屋港からトレーラーで輸送するため、舞木検査場から東名港まで甲種輸送しました。この甲種輸送に中京競馬場の担当者が添乗したいといわれ、私もお伴で添乗しました。
中京競馬場7000-⑨

神宮前 2002(H14).7.30

上の写真⑧の少し後で5時頃です。
デキのパンタが上がり、出発準備中です。

左のJR列車は大垣夜行かな ?
中京競馬場7000-⑩

神宮前 2002(H14).7.30

上の写真⑧⑨の反対側(金山方)から見ました。

まもなくデキ602号に牽引されて金山に向かい、そこで折り返し、601号が先頭になり大江へ向かいます。
(神宮前では折り返しができません)
中京競馬場7000-⑪

金山~神宮前 2002(H14).7.30

デキ601号に牽引され、金山から大江に向かう列車です。
7027号の運転台に添乗し撮りました。運転台も綺麗に化粧直しが済んでいました。
中京競馬場7000-⑫

金山~神宮前 2002(H14).7.30

上の写真⑪の続きです。
複々線区間を走ります。

パノラマカーのフロントアイをのぞけば広角で上下逆になっていることがわかります。


なお、デキ600形は、入換機関車のように運転台1ヶ所で横向き(レール方向)だったため、運転士は横向きで運転します。写真の左側が運転士です。
中京競馬場7000-⑬

 大江 2002(H14).7.30

大江に到着したデキ+パノラマカーは、一旦留置線に入りました。

廃車になったパノラマカーですが、新車のように綺麗になりました。


トレーラー輸送(高さ制限)のため、パンタは事前に外してあります。
中京競馬場7000-⑭

 大江 2002(H14).7.30

大江駅の神宮前方の海側の引き上げ線に押し込まれました。
このあと、名古屋臨海鉄道のディーゼル機関車に連結されて東名古屋港岸壁まで運ばれました。

7027号の先頭部ですが、上の写真②と比べるとスッキリしています。
連結器横にあったジャンパー線やエアホース、連結器下の自動解結装置を撤去し原形に近づけました。連結器も原形の3/4自連に変えたかったのですが、手持ちがなくて、取り替えていません。
(連結器左の赤コックの制動管ホースは、甲種輸送時の制動管引き通し用で、輸送後簡単に取り外せるようにしてあります)
中京競馬場7000-⑮

東名古屋港岸壁 2002(H14).7.30

東名古屋港岸壁に到着した(向こう側から)7027-7092-7028です。

名臨海のDLに牽引され、この手前の機回し線でDLが後ろに回り、推進されて岸壁に到着しました。

輸出車両は、ここで船に積み替えられますが、パノラマカーはトレーラーに積み替えられて中京競馬場へ向かいます。

手前の7028号は、競馬場で降ろす場所の関係で、展望席側がトレーラーの前側になり、床下スカートが牽引の邪魔になるため事前に外しました。
中京競馬場7000-⑯

東名古屋港岸壁 2002(H14).7.30

連結を切り離し、吊り上げ準備が整った7027号です。
こちらはスカート付きのままトレーラに乗ります。
中京競馬場7000-⑰

東名古屋港岸壁 2002(H14).7.30

7027号がクレーンで吊り上げられました。


かなり暑い日でした。


↓台車も積み込みました。
中京競馬場7000-⑱

東名古屋港岸壁 2002(H14).7.30

トレーラーに乗った7027号です。
中京競馬場7000-⑲

東名古屋港岸壁 2002(H14).7.30

トレーラーに乗った7027号と、これからトレーラーに積込まれる7028号です。
後方には名古屋港のシンボル・ポートタワーが見えます。
この夜、7027・7092・7028号は東名古屋港岸壁から中京競馬場までトレーラー輸送されました。

この写真を撮ってから一旦家へ帰り、少し仮眠をした後、22時頃に車を運転してこの場所に戻りました。
ミーティングの後、23時過ぎにパノラマカーを乗せた日通トレーラー3台は少しずつ間隔を置いて六号地(東名古屋港岸壁)を出発し、中京競馬場に向かいました。
私は中京競馬場長を助手席に乗せてトレーラーの後ろを伴走しました。
中京競馬場7000-⑳

国道1号線三ツ谷交差点
(中京競馬場の近く) 2002(H14).7.31

日付が変わった頃に、7028号を乗せたトレーラーが国道1号線の三ツ谷交差点を曲がりました。
急カーブを曲がるときは、トレーラーの後ろの台車を係員が手動で舵取りしますので、事前に暫く停車します。
その間に追い越して撮りました。
対向車を止めて、道幅いっぱいにゆっくりと曲がります。
ここから競馬場駐車場までは、係員が歩きながら後ろの台車を舵取りしてゆっくり走りました。
途中、競馬場の寮の前を通るとき関係者総出でお出迎えしてくれました。
続きは次回です。
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パノラマカーの本:
   「名古屋鉄道車両史-下巻」 清水武・田中義人著 アルファベータブックス 2019(R1).9.10発行
   「PANORAMA CAR ありがとうパノラマカー」名古屋鉄道監修・公式写真集 中日新聞社 2009(H21).4.10発行
   「パノラマ☆ファンタジー」 小林弘雄・林 英樹・和田 浩 著 パレード 2008(H20).12.20発行
   「名鉄パノラマカー」 徳田耕一 著 JTBキャンブックス 2001(H13).2.1発行
   「パノラマカー栄光の半世紀」 徳田耕一 著 JTBキャンブックス 2009(H21).3.1発行
   「僕はパノラマカー」 古池直之 著 2008(H20).1.13発行     などなど