筑豊の石炭記念館めぐり 2 宮若市石炭記念館 田川博物館へ 直方記念館へ
宮若市石炭記念館 筑豊最後の炭鉱は貝島炭鉱で、1973(昭和48)年に坑内掘りの大之浦炭鉱閉山、1976(昭和51)年に露天掘りも閉山となりました。 貝島炭鉱は宮田町(現・若宮市)周辺に多くの炭鉱(炭坑)があり、国鉄宮田線(1989/平成元年12月廃止)は、貝島炭鉱が石炭輸送用に自力で建設して九州鉄道へ譲渡、後に国有化された路線です。宮田町は貝島炭鉱の町でした。 宮田線の終点・筑前宮田駅の南には貝島炭鉱大之浦坑がありました。その端にあった大之浦小学校(1974年閉校)の建物を利用して1977(昭和52)年に石炭記念館が開設されました。当初は宮田町石炭記念館でしたが、合併により宮若市石炭記念館となりました。 |
|
宮若石炭① 1974(昭和49)年に撮影された国土地理院の航空写真に、筑前宮田駅、大之浦炭鉱などを追記しました。 この当時は、筑前宮田駅の東(右)側では露天掘りが行われていました。 |
|
宮若石炭② 上の写真と同じ場所です。 2007(平成19)年に撮影された国土地理院の航空写真に、筑前宮田駅(跡)、宮若市石炭記念館を追記しました。 |
この地図は、国土地理院1/20万「福岡」 S35.2.28発行より 貝島炭鉱専用線を青くなぞり「鉄道賛歌」「貝島炭礦鉄道」を参考に主要な炭鉱・駅を記入しました。 この地図で、二坑=大之浦炭鉱。 大之浦小学校が閉校後に石炭記念館になりました。 一番南の庄司には採砂場がありました。 筑豊炭田は地下に坑道が張り巡らされ、地盤の陥落などの鉱害が発生したため、貝島炭鉱では、採掘が終わった坑道に土砂を水力で流し込む湿式充填が行われました。(「貝島炭礦鉄道」を参照) そのため、庄司に採砂場を作り、各坑口まで線路を敷設、充填用の土砂を輸送しました。充填汽車と呼ばれたそうです。 |
|
↓宮若市石炭記念館パンフレット 2014(平成26)年夏に訪問したときのものです。 |
|
宮若石炭③ 2014(H26).8.3 宮若市石炭記念館の前に保存してある蒸気機関車です。 貝島炭鉱の専用線で使用されました。 ↓機関車の説明板 |
|
宮若石炭④ 2014(H26).8.3 同上。近寄って撮りました。 アメリカンロコモティブ(アルコ)で製造された22号機です。 説明板に書いてあるとおり、廃坑道の充填用の土砂輸送が主な任務だったので、国鉄の貨車(石炭車)と連結する頻度は少なく、昔ながらのリンク(鎖)式連結器+バッファー(緩衝器)の組み合わせでした。 国鉄の貨車と連結するときは、控車(一方がリンク式連結器、他方が自動連結器)を介して連結しました。 |
|
宮若石炭⑤ 2014(H26).8.3 砂運車ロト12です。 充填列車用の貨車で、54両が在籍していました。 車号の上についているマークは、貝島炭鉱の社紋です。 |
|
宮若石炭⑥ 2014(H26).8.3 宮若市石炭記念館の展示室です。 貝島炭鉱で使用された機材が保存展示されています。 小学校の教室をそのまま展示室にしていますが、1977(昭和52)年の開設以来、これを維持してしているのは立派です。今後も末永く炭鉱の歴史を後世に伝えてほしいと願っています。 |
|
宮若石炭⑦ 2014(H26).8.3 貝島炭鉱の写真や資料が保存展示されています。 |
|
宮若石炭⑧ 2014(H26).8.3 貝島炭鉱の写真や資料が保存展示されています。 |
|
宮若石炭⑨ 2014(H26).8.3 貝島炭鉱の創業者・貝島太助により設立された私立小学校の記録や写真が展示されています。 貝島太助の肖像画も飾ってあります。 貝島太助は「筑豊の炭坑王」と呼ばれましたが、もう一人の「炭坑王」伊藤伝右衛門も忘れてはいけません。 ここを訪問した2014(平成16)年にはNHKの朝ドラで『花子とアン』が放映されていました。私は朝ドラファンなので毎朝見ていました。このドラマで印象的な登場人物が白蓮(仲間由紀恵)と嘉納伝助(吉田鋼太郎)でした。嘉納伝助は伊藤伝右衛門をモデルにしていて、その伊藤伝右衛門邸が飯塚にあり、2014年に筑豊で一番の人気スポットだったので訪問しました。↓ |
⑩伊藤伝右衛門邸入口 2014(H26).8.3 炭坑王・伊藤伝右衛門と白蓮が暮らした豪邸です。「村岡花子と白蓮」の幟が立っていました。 |
⑪伊藤伝右衛門邸の庭園 2014(H26).8.3 立派な庭園とお屋敷です。2階が白蓮の部屋でした。 飯塚市内の幸袋線幸袋駅(1969/S44年廃止)跡の近くにあります。 |
⑫貝島炭鉱六坑 197(S46)1.7.27 現役時代のアルコ22号です。 手前の貨車は控車で、機関車連結側がリンク式連結器、こちら側が自動連結器です。 貝島炭鉱六坑の現役時代の写真は →貝島炭鉱へ 貝島炭鉱二坑(大之浦坑)の写真は →大之浦二坑へ |
|
筑豊の石炭記念館3(直方)へ | |
田川市石炭・歴史博物館へ | 2022(R4).12.7up |
参考図書:「鉄道讃歌」けむり・プロ著 交友社 1971(昭和46)年2月10日発行
「貝島炭礦鉄道」けむり・プロ著 南軽出版局 2015(平成27)年10月4日発行