南海・大阪軌道線は南海電鉄が運営していた阪堺線・平野線・上町線の総称です。(南海は1971/昭和46年まで和歌山軌道線も運営) ・阪堺線:恵美須町~浜寺駅前 14.1km(左図青線) ・平野線:今池~平野 5.9km(左図緑線) ・上町線:天王寺駅前~住吉公園 4.6km(左図水色線) 平野線は1980(昭和55)年11月28日に廃止、その3日後の12月1日に阪堺電気軌道が阪堺線・上町線を南海から引き継ぎました。 南海時代の軌道線をNさんが訪問しました。その写真をご覧ください。 ←国土地理院1/20万「和歌山」S42.7発行より 路線に色付け、主要電停・撮影地記入 |
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↓南海軌道線① 平野 1978(S53).8.27 Nさん撮影 | |
南海・大阪軌道線路線図 「世界の鉄道'73」昭和47年10月14日 朝日新聞社発行より 今池付近の配線が間違っていましたので修正し、併用軌道区間に色を付けました。 平野線今池~平野間は、1980(昭和55)年11月に廃止。 残りの路線は、同年12月から阪堺電気軌道が運営。 上町線住吉~住吉公園間は2016(平成28)年1月に廃止されました。 |
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南海軌道線② Nさん撮影 恵美須町 1978(S53).8.27 軌道線のターミナル恵美須町です。 この当時は3線あり、浜寺駅前行きと平野行きが出ていました。 この駅の西側近くには、駅名(町名)の由来となった今宮戎神社があり、東南すぐの所に大阪のシンボル通天閣があります。 四角い行先板は恵美須町-浜寺駅前(左写真2両とも)、丸い行先板が恵美須町-平野(上写真①)でした。 平野線廃止後、一番右(東)の線が撤去され2線になりました。 2020(令和2)年2月からは、駅が南へ100m移転し、1線になりました。 右のモ121形(129)は、元大阪市電1600形(車体長13.7m)です。 |
←南海軌道線③ 恵美須町 1978(S53).8.27 Nさん撮影 平野線から来たモ205形(223)が到着します。 中ホームの南端には、感じの良い信号扱い所がありました。この建物はまだ残っています。 |
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↓南海軌道線④ 恵美須町 1978(S53).8.27 Nさん撮影 恵美須町駅の南には留置線があり、モ205形2両が留置されていました。 モ205形は車体長11.1mの小型車で、205~250が在籍しました。 |
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南海軌道線⑤ Nさん撮影 南霞町 1978(S53).8.27 大阪環状線と交差する南霞町です。 (現在は環状線の駅名に合わせ新今宮駅前と改称) 恵美須町から平野に向かう電車から撮りました。 すれ違うモ161形(163)は平野行きの方向幕ですが、次が終点の恵美須町なので、前もって変更されています。 |
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南海軌道線⑥ Nさん撮影 今池 1978(S53).8.27 今池電停から北を見ました。 モ151形どうしがすれ違いました(左151・右152)。 151形(151~154)と161形(161~175)は同じ車体で制御器が違うということです。 大阪環状線のオレンジ色の電車も見えました。 |
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南海軌道線⑦ Nさん撮影 今池 1978(S53).8.27 今池電停から南を見ました。 橋梁のすぐ向こう側で、平野線が左側(東)へ分岐していました。(架線を注目!) この橋梁は天王寺支線を跨ぐ橋梁でした。天王寺支線は次の写真⑧をご覧ください。 |
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⑧南海天王寺支線 Nさん撮影 天下茶屋 1978(S53).8.27 天下茶屋に停車する天王寺支線の列車です。 南海の天王寺支線は天王寺~天下茶屋間2.4km(全線複線)の支線。1900(明治33)年に開業し、南海本線から天王寺支線・城東線(現・大阪環状線の東半分)経由で大阪駅まで直通運転も実施したということです。 大阪環状線が全通し、南海本線に新今宮駅が1966(昭和41)年に開業すると、南海-国鉄の乗換えは新今宮駅へ移行し、天王寺支線の乗客は激減しました。 その後、路線の用地を地下鉄に譲るなどして、1993(平成5)年に廃止されました。 →Wiki 南海天王寺支線 |
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南海軌道線⑨ Nさん撮影 阿倍野 1978(S53).8.27 平野線と上町線が交差していた阿倍野です。 阿倍野電停に停車中の161形(162)は平野から来た電車で、手前へ直進し恵美須町に向かいます。左方向が天王寺です。 隣の高架橋は阪神高速道路で、1980(昭和55)年に開通しました。 平野線の下には地下鉄谷町線も建設され、1980(昭和55)年に開通しました。 |
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南海軌道線⑩ Nさん撮影 阿倍野 1978(S53).8.27 阿倍野交差点を走る上町線の電車モ301形(303)です。 上の写真⑨に写っている電停から交差点方向を撮りました。 雲電車と呼ばれる塗装で、1975(昭和50)年から始まった立石電機(オムロン)の広告電車でした。 ブルー・グリーン・オレンジの3色に白い雲を描いた、好ましいデザインでした。 |
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南海軌道線⑪ Nさん撮影 阿倍野 1978(S53).8.27 交差点を渡るブルーの雲電車はモ161形(175)です。 上の写真の301形と、161形は同じ車体形状で、車体長13.7mの大型車両です。 |
←南海軌道線⑫ 西平野~中野 1978(S53).8.27 Nさん撮影 線路全体を覆う鉄骨の仮囲いの中を走っていました。 平野線の上空では阪神高速道路が工事中で、平野線の地下では大阪地下鉄谷町線が工事中でした。 しかし、凄いところを走っていたんですね! |
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↓南海軌道線⑬ 平野~西平野 1978(S53).8.27 Nさん撮影 間もなく終点の平野に到着です。(行先幕は折返しの「天王寺駅前」に変更済み) |
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南海軌道線⑭ Nさん撮影 平野 1978(S53).8.27 終点の平野駅です。 切り欠き式のホームで、なかなか良い雰囲気の駅でしたね。 |
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南海軌道線⑮ Nさん撮影 平野 1978(S53).8.27 平野駅1番ホームを終端側(上の写真⑭の反対側)から見ました。 |
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南海軌道線⑯ Nさん撮影 天王寺駅前 1978(S53).8.27 天王寺駅前電停を出発したモ161形(169)です。 電停横の近鉄百貨店のビルが、現在は超高層の「あべのハルカス」に変わるなど、この辺りの風景は一変しました。 |
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南海軌道線⑰ Nさん撮影 住吉 1978(S53).8.27 分岐点の住吉電停に停車中の、元大阪市電のモ121形(126)です。 この電車は真っ直ぐ進んで恵美須町へ向かいます。右(こちらから見て左)へ曲がれば天王寺駅前方向です。 |
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南海軌道線⑱ Nさん撮影 住吉 1978(S53).8.27 住吉交差点を別の角度から見ました。青い雲電車が停車しているのは上町線の住吉電停です。その向こう側へ進むと終点の住吉公園です。 住吉~住吉公園間は2016(平成28)年1月に廃止されました。 |
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南海軌道線⑲ Nさん撮影 住吉公園 1978(S53).8.27 上町線の終点・住吉公園です。 右の高架上に南海本線の住吉大社駅があります。 住吉公園駅は、2016(平成28)年1月に廃止されました。 |
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南海軌道線⑳ Nさん撮影 浜寺駅前 1978(S53).8.27 阪堺線の終点・浜寺駅前です。 電車からもバスからも大勢のお客さんが降りました。海水浴かな? この近くには、南海本線の浜寺公園駅があり、格調高い木造駅舎で有名でしたが、高架化工事で2017(H29)年に駅舎は移転し、展示されているようです。 |
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↑南海本線浜寺公園駅 2012.3.30 |
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南海軌道線(21) Nさん撮影 石津~船尾 1978(S53).8.27 石津川の橋梁を渡るモ151形(151)です。 |
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南海軌道線(22) Nさん撮影 石津~船尾 1978(S53).8.27 石津川の橋梁を渡るモ151形(152)です。 |
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南海軌道線(23) Nさん撮影 石津 1978(S53).8.27 石津電停に到着するモ121形(127)です。 線路内立入り禁止の大きな看板が立っています。 昔は、近道をするため線路を歩くのが当たり前でした。看板の大きさがそれを物語っています。 |
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南海軌道線(24) Nさん撮影 寺地町 1978(S53).8.27 寺地町電停のモ151形(154)です。 堺市内の綾ノ町~御陵前間は併用軌道ですが、写真のように車道と軌道がグリーンベルトで仕切られており、電車は車に邪魔されず走ることが出来ます。 |
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2020(R2).2.2up | |
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参考図書 : 「世界の鉄道'73」 朝日新聞社 1972(昭和47)年10月発行