羽後交通 雄勝線 1/2     羽後交通雄勝線の廃止5日前に訪問しました。

羽後交通雄勝線の地図 羽後交通雄勝(おがち)線は、1973(昭和48)年3月31日限りで廃止になりました。
そのわずか5日前に私はNさんと一緒に訪問しました。最初で最後の訪問となりました。
その当時の雄勝線は、奥羽線の湯沢〜西馬音内(にしもない)8.9kmを結ぶ非電化の鉄道でした。
その昔は、西馬音内の先の梺(ふもと)まで総延長11.7kmの電気鉄道で、ポールの電車が走っていました。
西馬音内〜梺は1967(昭和42)年に廃止され、1971(昭和46)年7月に経費節減のため電車を気動車に置き換えました。
電車が走っていた頃の雄勝線の写真は「地方私鉄1960年代の回想」をご覧ください。素晴らしい写真が掲載されています。博物館明治村にやってきたハフ11・13・14号の現役時代の貴重な写真もあります。

左の地図は、1/20万「新庄」S44.12.28国土地理院発行より
羽後交通雄勝線を赤くなぞり、撮影した最寄り駅にを付け青字で駅名を記入しました。既に廃止になっていた路線を青線で記入しました。
羽後交通の当時の時刻表
国鉄監修
交通公社の時刻表1973年4月号より
羽後交通@  Nさん撮影

 湯沢 1973(S48).3.26

1973(昭和48)年3月26日、鶴岡から急行「月山2号」、新庄から「もがみ・千秋1号」に乗り継いで11:13に湯沢へ到着しました。

羽後交通雄勝線のホームに、湘南形の気動車キハ1形2号が停まっていました。11:35発のこの気動車に乗って西馬音内(写真向こう側)に向かいます。

塗り分けも湘南形ですが、この色には違和感がありました。
左に留置してある車両のクリームとオレンジ色のツートンのほうが良い色と思うのですが・・・

左の車両は車体側面に「デハ7」と標記がありましたので、元電車のデハ7号です。
羽後交通A

 湯沢 1973(S48).3.26

国鉄のホームから見た羽後交通のホームです。

ワフ1号も味わいのある貨車ですね!
羽後交通B 湯沢 1973(S48).3.26
 留置されていた明治生まれの二重屋根客車ホハフ2号です。
羽後交通C ホハフ2号車内 1973(S48).3.26
 左の写真の客車の車内はロングシートでした。
羽後交通D キハ2号車内 1973(S48).3.26
 車内は満員で、窓ガラスがすぐ曇るため、窓ガラスを拭きながら運転していました。
羽後交通E 羽後山田 1973(S48).3.26
 羽後山田停車中のキハ2号車内から前方を見て撮りました。

羽後交通F

キハ2号車内 1973(S48).3.26

湯沢11:35→西馬音内12:01の昼間の列車ですが、車内は超満員でした。
名残の乗車でしょうか?
この1本前の列車は湯沢8:30発ですから、3時間ぶりの列車です。
最初の駅、羽後山田に到着しました。

お客さんは、見たところほとんどが地元の人たちで、乗っている鉄道ファンは私とNさんの二人だけでした。カメラを持っているのも二人だけでした。今では考えられないですね。
羽後交通G

羽後三輪 1973(S48).3.26

昔、交換駅であった面影が残る羽後三輪に到着です。
上のFと同じ列車です。
乗降シーンを撮るため一旦車外へ出ました。

キハ1形2号と3号は同じ湘南形で、西馬音内方の前面には荷台が付いていました。
羽後交通H

羽後三輪 1973(S48).3.26

上の写真Gのすぐあとです。

おばさんたちのあとに我々も乗り込んで出発です。
羽後交通I

西馬音内 1973(S48).3.26

終点の西馬音内へ12:01に到着しました。
大勢のお客さんが降りてきます。

西馬音内(にしもない)は、古くから発展していた町で、立派な駅舎もあったようですが、廃止に向けて半年ほど前に駅舎は壊され、線路も50mほど短縮されていました。
このとき既に仮設ホームとプレハブ駅舎の状態でした。
 (下記参考図書参照)

羽後交通J  Nさん撮影

西馬音内 1973(S48).3.26

左側にプレハブの西馬音内駅舎があり、中央に我々が乗ってきたキハ2号、その右にキハ4号(旧国鉄41000形)がいます。
中央のキハ2号は12:01に到着し、12:25に湯沢行きとなって折返し出発します。我々もその列車に乗りましたので、西馬音内滞在はわずか24分でした。


雄勝線には気動車が3両在籍していましたが、これらの気動車は羽後交通横荘線で使われていたものです。
1971(昭和46)年7月の横荘線廃止に伴い、電車が走っていた雄勝線に転属となり、電気鉄道を内燃化しましたが、2年も経たずにその使命を終わろうとしていました。
羽後交通K  Nさん撮影

西馬音内 1973(S48).3.26

構内には、1971(昭和46)年7月まで雄勝線で活躍していた電車が保存されていました。窓周りだけ目隠しがされていました。
手前からデハ5号、6号、3号の3両です。
デハ3号は現在も綺麗に保存されているようです。
 「編集長敬白」参照
羽後交通L

西馬音内 1973(S48).3.26

西馬音内駅の全景です。
上の写真Kの逆方向から撮っています。
従って、右側に写っている保存されていた電車の一番手前がデハ3号です。

中央に写っているホームが、昔の西馬音内のホームと思われます。
羽後交通M

西馬音内 1973(S48).3.26

可愛らしい除雪用の「ユキ2号」です。

左に写っているのはキハ4号です。
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参考図書:
  RM LIBRARY 52 「羽後交通雄勝線」若林 宣著 ネコ・パブリッシング 2003.11.1発行
  「新・消えた轍3 東北-ローカル私鉄廃線跡探訪-」寺田裕一著 ネコ・パブリッシング2010.8.31発行