津島軽便堂写真館

京津線(けいしんせん)2 京の三条から東山・逢坂山を越え、浜大津まで走っていました。   京津線1へ   蹴上の桜

京津線(29) Nさん撮影

蹴上~九条山 1975(S50).2.9

蹴上から九条山に向かって、66.7‰の急勾配を上ってきた80形です。
←国土地理院1/20万
  京都及大阪S43.4.30発行
に追記

東海道五十三次の最後53番目の宿場・大津宿から終点の三条大橋まで、東海道に沿って走っていたのが京津線です。
江戸時代までは京へ入るメインルートで、1912(大正元)年に京津電気軌道が、東山・逢坂山越えの急勾配、急曲線が連続する路線を完成させました。
1997(H9)年10月の京都地下鉄東西線の開通により、京津三条~御陵間(左図青線)が廃止になり、赤線区間が残存しています。なお、緑線は明治初期に開通した旧東海道線(勾配迂回ルート)です。
京津線(30)

 九条山 1997(H9).8.23

九条山の急坂を上りきって80形が駅に到着しました。
京津線(31)

 九条山 1997(H9).8.23

九条山駅を出発した四宮行きです。
ここから日ノ岡に向かっては下り坂になります。
京津線(32)

九条山~日ノ岡 1997(H9).8.23

九条山と日ノ岡の中間付近にあった急カーブです。
80形が坂を下ってきます。

蹴上~日ノ岡間の廃線跡は、道路拡張に利用され、この付近は車石広場として整備されたようです。
京津線(33)

九条山~日ノ岡 1997(H9).8.23

上の写真(32)の逆方向です。

この付近から線路右(南)側に旧東海道の日ノ岡峠道が残っています。
(前頁の地図参照)
京津線(34)

九条山~日ノ岡 1997(H9).8.23

日が陰って、山峡のムードが漂っています。

上の写真(32・33)の踏切の約300m日ノ岡寄りで、80形電車は、間もなく日ノ岡の併用軌道に入ります。
京津線(35)

九条山~日ノ岡 1997(H9).8.23

併用軌道と専用軌道の境界部です。

日ノ岡の併用軌道を走ってきた三条行き80形は、ここから専用軌道に入ります。
(前頁の地図参照)
京津線(36)

 日ノ岡 1997(H9).8.23

日ノ岡電停に三条行きが停車します。

この道路(三条通)は、昔は国道1号でしたが、五条バイパス完成により京都府道に格下げされました
京津線(37)

 日ノ岡 1997(H9).8.23

日ノ岡の電停から御陵・山科方向を見ました。
600形の三条行き準急が、まもなく日ノ岡を通過します。
京津線(38)

 日ノ岡 1997(H9).8.23

日ノ岡の電停から九条山・三条方向(上の写真37の逆方向)を見ました。

向こうに見える山の手前を右方向へ行くと九条山です。
京津線(39)

 日ノ岡 1997(H9).8.23

80形が日ノ岡に到着します。
京津線(40) 御陵(みささぎ) 1997(H9).8.23

日ノ岡の併用軌道を抜けて、四宮行きが御陵駅に到着します。
京津線(41) 御陵(みささぎ) 1997(H9).8.23

ホーム端の改札口で駅員が切符を集めます。近くに天智天皇陵があるので、御陵という駅名になったとのことです。
京津線(42)

 四宮 1997(H9).8.23

四宮駅の先の折り返し線で小休止の80形です。
当時の80形は三条~四宮間の運行が主で、ここから浜大津方へは滅多に顔を出しませんでした。
京津線(43)

 四宮 1997(H9).9.28

四宮駅横の車庫に休む80形です。

私が撮った80形の最後の写真となりました。

80形は1961~70(S36~45)年にかけて16両(81~96)が製造され、前半の81~93号は、集電装置がトロリーポールで、単行運転用に両運転台で登場しました。
1970(S45)年にパンタグラフへ一斉取替が行われ、2両連結化も同年から2年かけて行われたということです。
トロリーポールを付けて単行で走る80形を撮りたかったのですが・・・
(もう少し早くから撮り始めれば・・・毎度お馴染みの反省点です)
国土地理院発行1/2.5万地形図
「京都東北部」S49.4.30発行
(上1/3)
「京都東南部」S49.4.30発行
(下2/3)より

京津線東半分(山科~浜大津)の地図です。併用軌道区間を赤で、専用軌道区間を青で記入しました。

京津電気軌道が1912(大正元)年に開業したときは、京都側は三条大橋で、大津側の終点は札の辻だったので、札の辻の場所を緑で記入しました。
また、急勾配・急曲線・トンネルも緑で記入しました。
京津線(44)

 大谷 1997(H9).8.23

大谷駅に到着する三条行きです。
この駅は、40‰の勾配上にある日本一の急勾配駅ということです。

京阪電鉄の公式サイト
(おすすめ!)
鉄の道を辿る(浜大津~追分)
  をご覧ください。

このすぐ向こう側に逢坂山トンネルがあります。(↖上の地図参照)


なお、この駅の近くには有名な鰻屋があり、Nさんはそこで「きんし丼」を食べて美味しかったそうです。
京津線(45)

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

名神高速道路のアーチ橋が上を越します。
浜大津から逢坂山トンネルに向けて急な上り坂が続きます。
京津線(46)

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

国道1号線と京津線が並んで名神高速道路の真下をくぐります。
京津線(47)

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

名神高速道路の真下ですれ違います。
京津線(48)

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

名神高速道路の浜大津方です。
逢坂山トンネルを出て、急勾配を下ってきた浜大津行き準急は、この辺りから最急の61‰を下ります。
京津線(49)

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

三条行きの準急です。
まだしばらく上りの急勾配が続きます。
京津線(50)  Nさん撮影

大谷~上栄町 1997(H9).8.23

この付近が61‰の急勾配です。


蹴上~九条山間には66.7パーミルの急勾配区間がありましたが、その区間が廃止されましたので、現在はここが京津線の最急勾配です。
京津線(51)

上栄町~浜大津 1997(H9).9.28

湖岸の浜大津駅を出て、上り坂の併用軌道区間を走り上栄町に向かいます。
600形のラストナンバー620号です。
京津線(52)

上栄町~浜大津 1997(H9).9.28

浜大津行きが併用軌道を下ってきました。
京津線(53)

上栄町~浜大津 1997(H9).9.28

上の写真(52)の電車が、浜大津で折り返してきました。

これが、京阪80形と三条~御陵間がなくなる2週間前に撮りに行ったときの最後の写真です。
京津線(54) 国土地理院撮影

浜大津付近 1975(S50).3.4
マウスを画面上に移動すると
 浜大津付近 2008(H20).5.6

国土地理院、地図・空中写真閲覧サービスの空中写真に加筆しました。
浜大津駅は、1981(S56)年までは左の写真のように二つに別れていました。
写真の赤線が京津線で、青線は石山坂本線でした。
遡れば、1969(S44)年までは江若鉄道の浜大津駅がありました(左図緑)。更に遡れば江若鉄道浜大津駅は、初代大津駅(官設鉄道)でした(共に私の知らない時代ですが)。その駅跡を利用し、浜大津(東口)駅の少し北側へ1981(S56)年に京津線・石山坂本線の統合駅が完成しました。
マウスを画面上に移動すると、現在の駅配置に切り替わります。

京阪電鉄・鉄の道を辿る(お薦め!)
京津線(55) Nさん撮影

 浜大津 1972(S47).2.22

浜大津駅が二つに分かれていた時代の写真です。京津線のホームから到着する300形を撮りました。
左端に写っているのが、石山坂本線の浜大津(東口)です。

写真の行先種別丸板を拡大すると、準急の右に「石山寺」、左に「
京都三条」と読めますので、石山坂本線から浜大津で折り返して京津線へ直通する列車でした。

これ以外に旧浜大津駅の写真がないので、ネットを探したら
はなぶさ・京阪浜大津の変遷
   にありました。

駅の歴史は
Wiki 浜大津駅
参照
京津線(56)

 浜大津 2012(H24).4.7

京津線に80形電車が走っていた時代の写真は、上の(55)で終わりですが、おまけでこの下に3枚添付します。

浜大津駅前交差点を曲がる地下鉄乗入れの京阪800系電車です。
日本で唯一、地下鉄と路面の両方を走る電車として有名?です。
詳細は→Wiki 京阪800系
参照


この写真は、上の写真(55)の40年後に逆方向からに見たことになります。
昔は、この正面に京津線の浜大津駅がありました。
京津線(57)

 浜大津 2012(H24).4.7

浜大津駅仕立ての地下鉄乗入れ京都市役所行き800系で、右下に100周年ヘッドマークが付いています。
1912(大正元)年8月に京津電軌が三条大橋~札の辻間で開業し、この年(2012年)に100周年を迎え、記念に付けられたものです。天満橋~浜大津間を直通運転した往年の名車「びわこ号」がモデルです。
京津線(58)

上栄町~浜大津 2012(H24).4.7

専用軌道から併用軌道区間に入った800系です。
浜大津駅近くから望遠で撮りました。

1912(大正元)年8月に京津電気軌道が三条大橋~札の辻間で開業したとき、終点の札の辻駅があったのは、この写真中央の京町一丁目交差点付近とのことです。昔はその辺りが大津宿の中心地だったわけです
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参考図書: 「地形図でたどる鉄道史・西日本編」今尾恵介著 JTBキャンブックス 2000(平成12)年6月発行
       「世界の鉄道'73」 朝日新聞社 1972(昭和47)年10月発行