津島軽便堂写真館
三信鉱工の現役鉱山・拾石坑の入口です。
セリサイト(絹雲母)を採掘しています。社長の御案内で鉱山探検(坑内見学)をしました。

この地図は国土地理院の電子国土Webからコピーし加筆しました
飯田線東栄駅から約13km。この道路の左側が、三信鉱工の本社です。
鉱山探検見学会は、ここが集合場所で、参加者が集まっています。
道路右側は、2007(平成19)年に廃校になった粟代小学校です。校門の横には二宮金次郎の像もありました。廃校の向こう側は八幡神社です。

奥三河・東栄町 三信鉱工トロッコ

2016(平成28)年8月4日の夕方、CBCテレビ「イッポウ」を見ていたら、奥三河穴場スポット特集で、現役セリサイト鉱山探検を放送していました。番組の中で、8月6日(土)に鉱山探検見学会が開催されることが案内されましたので、早速、東栄町役場(振興課)へ電話し参加申し込みしました。
その半年ほど前(3月9日)にNHKの「ひるブラ」でも、女性の美を支える鉱山~愛知・東栄町~として坑道の中から生中継(ゲストは足立梨花さん)され、採掘した鉱石を手押しトロッコで運び出すため、トロッコ線路が入口(出口)に向けて緩い下り勾配が付けてある。といったような内容が印象に残りましたが、一般人は見学できないと思い込んでいました。
なお、鉱山見学は、月1回(第1土曜日10:30~12:00)開催され、コスメティック体験(ファンデーション作り13:30~15:00)とセットです。両方合わせて6,000円(税別)で、鉱山見学のみ参加は不可だったので、私も午後からファンデーション作りに挑戦しました。参加者は女性が多いので、男性で参加される場合は女性同伴がお薦めです。 詳細は→naori をご覧ください
三信鉱工①  2016(H28).8.6

鉱山探検は、東栄町の三信鉱工本社前へ10:30集合のため、家から車で2時間半かけて到着しました。当日の参加者は13名で、9名は女性でした。
男性のみの参加はゼロでした(私も女房同伴)。当日は、東海テレビの撮影が行われ、そのスタッフも同行しました。
まず、三信鉱工前の八幡神社境内で鉱山の概要について、社長から紙芝居風の説明を受けました。
私が勝手に要約すると…
「社長の祖父が、三信鉄道(飯田線の前身・三河川合~天竜峡)の鉄道マンだったということで、沿線開発のため武田信玄時代にあった金山の再開発を夢見て山を購入、それが始まりだった。社名の三信鉱工は、三信鉄道に由来している。山から採れた白い石(セリサイト=絹雲母)は、最初、織物製造に使用、続いて溶接棒製造に使用され、昭和40年代から化粧品材料(特にファンデーション)として採用された。セリサイト鉱山は全国に4ヶ所あったが、現在はここ1ヶ所だけになってしまった。」
詳細は
三信鉱工のHPと、参考映像(のき山放送局No.81)をご覧ください。
三信鉱工②拾石坑 2016(H28).8.6

三信鉱工の本社から、自分たちの車で少し移動し、拾石坑
(ひろいしこう)の下の駐車場まで来ました。そこでヘルメットを借りて着用し、急な坂道を上がってきました。

上の方に何か見えてきました。
左写真中央上にトロッコが写っています。その下には白い石が!
この白い石がセリサイト=絹雲母の原鉱石です。
坑道で採掘してきた石をトロッコで運び、ここで崖下に落とし、ここからはトラックで運搬するようでした。
本来なら、トロッコのこちら側にチップラー(トロッコを回転させて積荷を降ろす装置)がほしいところですが…
三信鉱工③拾石坑 2016(H28).8.6

トロッコがある上の方まで歩いてきました。
この左が崖で、右が坑口です。
三信鉱工④拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真③の右方向から崖下方向を眺めました。
参考映像を見ると、トロッコへ袋を入れ、その中へ石を積み込んで運搬していましたので、チェーンブロックで袋ごと吊り上げて下へぶちまけると思われます(降ろす作業は見ていません)。

持って行ったコンベックスで線路幅を測ったら
 軌間=508mmでした。
三信鉱工⑤拾石坑 2016(H28).8.6

坑道の入口方向を見ました。
拾石坑(ひろいしこう)の看板が掲げてありました。

入口にある山の神に、二礼二拍手一礼して坑道へ入ります。
坑道はその昔、女人禁制だったのですが、今は解禁されました。
参加者に女性が多いので、入念に参拝しました。
三信鉱工⑥拾石坑 2016(H28).8.6

社長の後ろについて、坑道に入っていきました。
現役の鉱山で坑内見学ができるのは、現在はここだけだと思われますので、トロッコファンにはたまらない光景です!
デジカメ&手ブレ補正の有り難さで、暗いところでも写真が撮れます。


この日は、朝からカンカン照りの暑い日で、外の温度は30度を超えていたと思いますが、坑道の中は年中18度ということで、涼しくて快適でした。
三信鉱工⑦拾石坑 2016(H28).8.6

坑道を入って間もないところにあった待避線?です。

(なお、セリサイト掘削地点まで同じ坑道を往復しました。往復とも写真を撮っていますので、写真の撮影順ではなく、往復で撮った写真を組み合わせ、入口から奥の方へ順に紹介していきます。)
三信鉱工⑧拾石坑 2016(H28).8.6

待避線の少し向こうに分岐がありました。
坑道は分岐の右側へ続いており、まっすぐ進んだ正面はまもなく行き止まりです。
三信鉱工⑨拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑧の反対側から見ました。
写真右奥に入口の明かりが見え、坑道はここで急カーブして左奥の方へ続いています。
三信鉱工⑩拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑨から少し後ずさりして撮りました。
正面やや右が入口(出口)です。
左の方には削岩機も立てかけてありました。
三信鉱工⑪拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑩の反対方向を見ました。
中央に写っている機械は、ユンボの一種で、坑道を掘るときに出たズリをトロッコへ積み込むための機械です。トロッコで坑道の外へ捨てます。
三信鉱工⑫拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑪の奧の方です。
坑道はここで行き止まりで、その先、セリサイトの鉱脈を探して掘削中でした。
固い岩盤はダイナマイトを使って少しずつ崩していくそうです。
三信鉱工⑬拾石坑 2016(H28).8.6

行き止まりの坑道から一旦分岐点へ戻り、セリサイト掘削地点まで坑道を進みます。
上の写真⑨の左奥の方です。
三信鉱工⑭拾石坑 2016(H28).8.6

さらに進んでいくと、また分岐がありました。
上の写真⑬の少し先です。
坑道は左の方に向かい、直線方向の坑道は少し先で行き止まりです。
鉱脈探しのトライアルによる枝分かれのようです。
三信鉱工⑮拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑭の分岐点のところで撮りました。
左へ坑道が続いています。
左奥にトロッコが見えます。
三信鉱工⑯拾石坑 2016(H28).8.6


上の写真⑮の左奥に写っているトロッコに近づいて撮りました。
最後の分岐です。

鉱山が初めての女性たちにとっては、まるでインディジョーンズの世界だということでした。
三信鉱工⑰拾石坑 2016(H28).8.6

最後の分岐です。
左奥が坑道の終点のセリサイトの採掘場です。
三信鉱工⑱拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑰の逆方向から見ました。
トロッコの中に袋のようなものが見えます。
その中に採掘したセリサイトを入れて出口まで手押し運搬し、袋を吊り上げて下の貯石場へ落とすと思われます。

このポイントも、レールを曲げて作った手作りだそうで、脱線すると積荷が500kgくらいあるので、復旧が大変だと聞きました。
三信鉱工⑲拾石坑 2016(H28).8.6

上の写真⑰の奧です。
突き当たりが拾石坑の終点、セリサイトの採掘場です。
入口からここまで200m弱ということです。
ハシゴが掛けてありますが、セリサイトの鉱脈は円柱状で縦方向にあるので、上の方を掘るためだそうです。
三信鉱工⑳拾石坑 2016(H28).8.6

セリサイト採掘場に近づいて撮りました。
茶色部分は堅い岩で、ハンマーで叩くと高い音がします。白い部分がセリサイトです。叩くと鈍い音がし、ハンマーが食い込んでいきます。粘土のような感じでした。(社長に実演していただきました)

ここが、坑内見学の終点で、入口(出口)へ戻りました。戻る途中も説明はありましたが、私は写真を撮るのに夢中で…

坑道を出ると、暑い現実の世界に戻りました。急に暑いところへ出たのでカメラのレンズも曇ってしまいました。明るいところで見ると、靴も泥まみれになっていました…
三信鉱工(21)日向坑 2016(H28).8.6

拾石坑の坑内見学を終え、急坂を下りて駐車場へ戻りましたが、そこから見えたもう一つの鉱山施設が気になっていました(左写真)。

見学会は駐車場へ戻ったところで解散になったので、この粟代鉱業所と書いてある施設について社長に質問したら「あちらは日向坑
(ひおもこう)です」と返事され、あの写真も撮りたいとお願いし、了解を得て駐車場から走って撮りに行きました。
三信鉱工(22)日向坑 2016(H28).8.6

日向坑→「ひおもこう」
と読むそうです。

道路からのぞくと、ちょうど休憩時間だったようで、中にいた係員の方が、「今トロッコは動かないから中へ入って撮ってもいいよ」と言われ、感謝しながら撮りました。
坑道の入口に山の神が祀ってあり、その下に日向坑の看板があります。
坑道は線路が複線になっています
三信鉱工のHPを見ると、日向坑には立坑があり、坑道が張り巡らされているような感じです。

左下隅に転車台があり、坑道から出た積荷満載のトロッコは、ここで向きを変え、左の方にあるインクライン(傾斜軌道)でケーブルで引き上げられるようです。
三信鉱工(23)日向坑 2016(H28).8.6

トロッコ用のターンテーブルを撮りました。
手作り感あふれる設備です!
三信鉱工(24)日向坑 2016(H28).8.6

坑道の正面から見ました。
三信鉱工(25)日向坑 2016(H28).8.6

道路脇のインクライン(傾斜軌道)です。ケーブルで引き上げられ、積荷のセリサイト原鉱石をインクライン左上にある貯石場へ降ろし、そこからトラックに積み込む構造になっているようでした。
三信鉱工(26)日向坑 2016(H28).8.6

道路からインクラインとトラックへの積み込み設備を見ました。

この日向坑で撮ったのは数分間だけで、急いで駐車場へ戻りヘルメットを返却し三信鉱工をあとにしました。


トロッコ見学の後は、東栄町の中心街近くにある「とうえい温泉」で昼食・入浴しました。
そのあと13:30から、廃校になった東部小学校を活用した東栄町体験交流館「のき山学校」でファンデーション作りに挑戦しました。参加者は鉱山探検の13名+女性6名の19名でした。
(ツアーディレクターさんには大変お世話になりました。)
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参考映像 : 奥三河 のき山放送局 第81回 三信鉱工
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