別府鉄道  播磨を走っていた貨主客従の鉄道でした

別府鉄道の地図 別府鉄道(べふてつどう)は、昭和47年度「私鉄要覧」運輸省鉄道監督局監修によれば
 野口線 野口〜別府港 3.6km
 土山線 別府港〜土山 4.0km  計7.6kmとなっています。

国鉄の路線とは、野口で高砂線と、土山で山陽本線と接続していました。

別府港付近の化学肥料会社の製品を貨車輸送するために造られた鉄道で、旅客は少なく、貨主客従の鉄道でした。1984(昭和59)年に貨物輸送廃止と共に廃線となりました。

なお、接続していた国鉄高砂線も別府鉄道廃止の10ヶ月後に廃止となりました。

私が別府鉄道を訪問したのは1972(昭和47)年8月4日、暑い日でした。
前日、姫路・手柄山のユースホステルに仲間と4人で宿泊し、姫路モノレールに乗ったあと、加古川から高砂線に乗りました。
次の駅・野口で国鉄乗りつぶし派(そのまま高砂線乗車)と私鉄乗りつぶし派の2組に分かれ、私とHさんは別府鉄道に乗りました。

野口での乗換は接続が良すぎて写真を撮る暇が無く、写真がありません。今から思えば同じホームでの乗換なので写真1枚くらいは撮れたはずですが、暑さと疲れでカメラをバッグから出すのが億劫だったのかもしれません。
別府鉄道@

 別府港 1972(S47).8.4

この荷台付きのキハ3号に野口から別府港まで乗車しました。
別府港でお客を降ろしたあと、すぐに発車しましたが少し先で止まり、油を補給していました。
ホームの先から望遠で撮りました。
別府鉄道A

 別府港 1972(S47).8.4

キハ3号に近づいていくと、給油が終わったようです。
別府鉄道B 別府港 1972(S47).8.4
 上のAを撮った位置から逆方向を見ました。
 左に写っている貨車の左側に別府港駅がありました。
別府鉄道C 別府港 1972(S47).8.4
 別府港のホームに停車中の気動車(キハ3号)
 その向こうにはダブルルーフ・デッキ付き客車がいます。
別府鉄道D 別府港 1972(S47).8.4
 別府港のホームから見た北側の風景です。
 本線路の左側に機関庫がありました。
別府鉄道E 別府港 1972(S47).8.4
 気動車の停まっている線路を真っ直ぐ行くと野口方面です。
 右側に分岐していく線路が土山方面です。

別府鉄道F

 別府港 1972(S47).8.4

出発時間が近づいたので、乗務員が乗り込みます。

暑かったので、駅から動かずこの写真を撮りました。

いつもの自分なら、この列車の走行写真を撮るために沿線を歩くのですが・・・この写真を撮れたので、歩かなかったほうが良かったと思います。
別府鉄道G

 別府港 1972(S47).8.4

ダブルルーフ、オープンデッキ付きの2軸客車ハフ7号です。
土山線の混合列車に使用されていました。
この時代でも、今時こんなのが現役で頑張っているんだ!と感動した覚えがあります。

土山線はお客さんが少なかったので、客車は車掌車の代わりに使われていたような感じでした。
 
別府鉄道H

 別府港 1972(S47).8.4

別のアングルからハフ7号を撮りました。
土山方に貨車をたくさんつないでいました。
その横で機関車が入換中です。
右側には別府港駅のホームがあります。
別府鉄道I

 別府港 1972(S47).8.4

ディーゼル機関車を連結し、土山行きの混合列車の出発準備が整いました。

この列車は、この位置からそのまま土山へ向けて出発しましたので、お客は線路脇から客車の手摺りにつかまりステップを上がり乗り込みました。
お客といっても、私とHさんの2人連れだけでしたが・・・
 
別府鉄道J Nさん撮影

 野口 1978(S53).4.30

私の訪問から6年後にNさんも別府鉄道を訪問しました。

野口のホームで並ぶ別府鉄道のキハ2号(手前)と、高砂線の気動車です。

私が見た別府鉄道のキハはクリームと緑の塗り分けでしたが、塗色が変更されていました。
別府鉄道K Nさん撮影

 別府港 1978(S53).4.30

別府港駅の隣にあった機関庫です。

貨物が主力であったので、機関車がたくさん(3両)写っています。
 
別府鉄道L Nさん撮影

 土山 1978(S53).4.30

山陽本線との接続駅に土山に到着した客車列車です。連休期間中で貨車がいなかったようです。

2軸客車ハフ7号はクリームと緑の綺麗な状態で健在でした。
機関車を切り放し、機回し入換をします。
別府鉄道M Nさん撮影

 土山付近 1978(S53).4.30

土山を出発した別府港行きの混合列車です。
連休期間中のためか、貨車を1両しかつないでいません。
別府鉄道N

 土山 1978(S53).5.7

私も、連休を利用して岡山方面へ旅行した帰りに、土山に寄りました。
Nさん訪問の1週間後です。

時刻表で調べると、備前片上駅から赤穂線に乗り、在来線を乗り継げば、土山駅で、数少ない土山線の列車(1日4往復)の停車中に巡り会えることが分かりましたので、途中下車しました。

土山駅で出発待ちの客車列車です。
やはり連休期間中のためか貨車がいません。
客車1両にこのディーゼル機関車では力をもてあましそうです。

このときは、土山でこの写真を撮っただけで、別府鉄道に乗らずに帰りました。
結局この写真が、私が撮った別府鉄道最後の写真ということになりました。
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参考図書
 「新・消えた轍8近畿-ローカル私鉄廃線跡探訪-」寺田裕一著 ネコ・パブリッシング2010.10.30発行